2005年 07月 13日
shangri - la |
「 空の色が違う 」 と私は言った。
「 何それ、 詩人気取ってるんすか?」 と笑い飛ばされた。
ひと昔まえの初夏のことである。
笑い飛ばしたのは、7歳年下のアルバイト少年。
たかが7歳、されど7年。
ああ、これもジェネレーションギャップってやつかと苦笑いした。
詩人気取りでも格好つけたわけでもない。
私は見たまま、感じたままを口にしたまでのこと。
いつからか私は、毎年この季節に物足りなさを感じるようになっていた。
空の、青・・・
空の青さが足りないじゃないか?
空といえば、昔は ( 嗚呼・・・ 私もこの言葉を口にする歳になったか ) もっと青いものだった。
100人中95人が絵に描くような色をしていたはずだ。
じりじり暑くなるごとに、空の色は濃く、雲は白く威勢良く。
それを眺めて 「 ああ、夏が来た 」 と感じたものだった。
梅雨明けの雷雨に、半袖の腕を容赦なく打たれながら
むしろさばさばと清々しい気分で 「 ああ、夏が来る 」 と感じたように。
それらは夏を迎えるための、一種のセレモニーだったはずだ。
カンキョウオセン、 チキュウオンダンカ・・・
騒がれ始めたのは、ごく最近のこと。
なるほど、私より生きている時間が7年少ないアルバイト少年にとっては、
現在のこの、ブルーグレイの空が当たり前だったのだろう。
そう考えると、7年という時間を、嬉しくも切なくも感じる。
あの青空を、知ることができた7年
あの青空を、知ってしまった7年
たやすくは手が届かない、または、二度と手が届かない、という点でいうなら
“ 理想郷 ” というものは案外身近なところにあるのかもしれない・・・
by cheshire335
| 2005-07-13 12:42
| 蟹の呟き