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shangri - la



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「 空の色が違う 」 と私は言った。
「 何それ、 詩人気取ってるんすか?」 と笑い飛ばされた。

ひと昔まえの初夏のことである。

笑い飛ばしたのは、7歳年下のアルバイト少年。
たかが7歳、されど7年。
ああ、これもジェネレーションギャップってやつかと苦笑いした。


詩人気取りでも格好つけたわけでもない。
私は見たまま、感じたままを口にしたまでのこと。
いつからか私は、毎年この季節に物足りなさを感じるようになっていた。

空の、青・・・
空の青さが足りないじゃないか?


空といえば、昔は ( 嗚呼・・・ 私もこの言葉を口にする歳になったか ) もっと青いものだった。
100人中95人が絵に描くような色をしていたはずだ。

じりじり暑くなるごとに、空の色は濃く、雲は白く威勢良く。
それを眺めて 「 ああ、夏が来た 」 と感じたものだった。

梅雨明けの雷雨に、半袖の腕を容赦なく打たれながら
むしろさばさばと清々しい気分で 「 ああ、夏が来る 」 と感じたように。

それらは夏を迎えるための、一種のセレモニーだったはずだ。


カンキョウオセン、 チキュウオンダンカ・・・
騒がれ始めたのは、ごく最近のこと。

なるほど、私より生きている時間が7年少ないアルバイト少年にとっては、
現在のこの、ブルーグレイの空が当たり前だったのだろう。

そう考えると、7年という時間を、嬉しくも切なくも感じる。

あの青空を、知ることができた7年
あの青空を、知ってしまった7年


たやすくは手が届かない、または、二度と手が届かない、という点でいうなら
“ 理想郷 ” というものは案外身近なところにあるのかもしれない・・・
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by cheshire335 | 2005-07-13 12:42 | 蟹の呟き

視線 5



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          嘘も本音も紙一重
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by cheshire335 | 2005-07-12 11:57 |

或る町で。



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そこは、とても感じの良い町だ。

木造の趣ある家が建ち並ぶ細い路地、穏やかに時を経た板塀、今も現役の井戸。
あちらこちらにのんびりと猫が寛ぎ、近付いても逃げる気配がない。


私が呼ばれたお宅も、大きな平屋の日本家屋だった。
古びた蔵や、ひなびた庭のある家。

私はこうした、人の暮らしの中で自然と時を重ねた住まいを愛している。
浮き出た錆や、染みついたにおいや色を愛している。
決して自分のものにならないと、わかっているから余計に愛す。

ゆっくりと家の周りを見て歩きながら、私は心躍らせている。
ポケットに忍ばせた、小さなカメラに指先を触れてみる。

仕事が終わったら、あの窓を撮ろう。 
硝子に施された細工がとてもすてき。

朽ちかけたような蔵の土壁もいい感じだ。
あとでお願いして、少しだけ中を覗かせてもらえないだろうか。


あれこれ思いを巡らせるうちに、仕事の時間となった。
わざわざ何時間も電車を乗り継いで来たというのに、
私の 「 仕事 」 はといえば、そのお宅の下足番なのだ。

巨大な玄関に、旅館のような靴箱がずらりと並べられている。
それなのに、靴箱に収まりきらない靴が溢れている。

それらを迅速に適切に片づけようとしている先から、どんどん人が出入りする。
中へ入る人々は、ぽおんと乱暴に靴を脱ぎ捨ててゆくし
外へ出て行く人は、早く自分の靴を出せと焦れている。

私は床から顔を上げる暇もなく、ただ黙々と
靴を片づけては出し片づけては出し、を繰り返しているのだ。

しかし、どうやらあまり苦にはならないらしい。
事務的に手だけを動かしながら、私の頭の中は蔵や錆や土壁や井戸や猫や
窓硝子や板塀のことでいっぱいになっているからだ。

ポケットに入れたままの、小さなカメラの重みを感じるたびに
ニンマリと笑みさえ浮かべてしまう。


果てがないかのように思えるこの作業にも、必ず 「 終わり 」 はやってくる。
時給800円、午後3時までの一日限りのアルバイト。
解放されたらあとは私の自由時間だ。
仕事前に目を付けていたものを片っ端から撮りまくるのだ!

ええと、まずは近くの路地裏へ。
一面に蔦のからんだ家があったな、そういえば神社も。
あの石段で熟睡してた三毛猫はまだいるだろうか?


機械的に、大量の靴を片づけては出し片づけては出ししながら
頭の中は撮り歩きの計画でいっぱいだ。

仕事が終わるまで、あと一時間。
ああそうだ、やっぱり先に蔵の中を見せてもらえるかどうか確認しなくちゃ!

仕事が終わるまで、あと・・・










仕事が終わるより、目が覚めるほうが早かった。
わくわくした気持ちだけが宙に浮いたまま、夢はただの夢として終わった。

あくせく働くだけ働いたのに、お楽しみはお預け!
すっかり損した気分で最悪の目覚めを迎えることとなった。



“ 良い夢なんて、見ないに限る ”・・・



つまり、そういう話である。
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by cheshire335 | 2005-07-11 15:03 | 蟹の呟き

Pride



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        意地でもなければ見栄でもない
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by cheshire335 | 2005-07-10 12:11 |

Que sera sera



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          なるようになるさ
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by cheshire335 | 2005-07-10 12:07 |



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突然の雨に降られるのが嫌で、365日、折りたたみ傘を持ち歩いていた時期があった。
それが役に立ったことなどありもしないのに、意固地なまでに持ち歩いた。

なぜそこまで頑ななのかといえば、遡ること十数年前、たった一度だけ出先で雨に降られ
それはもう景気よく芯までずぶ濡れになった・・・ただそれだけのことが原因なのだ。

一度きりの不運を延々と引き摺る私は、神経質なまでに用心深い。
というより、相当に執念深い。


そんな私もいつ頃からか、
「 これは明らかに降らないだろう 」 と思える日には傘を置いて出かけられるようになったものの
ずぶ濡れになって途方に暮れる自分を想像しては、一日中そわそわと落ち着けずにいる有り様。

こんな些細なことに囚われているとは・・・
少々、いや、かなり情けないぞ!と我がことながら思う。


ある雨の日。
ふと窓の外を眺めたら、結構な降りの中、ひらひらと紋白蝶が飛んでいた。
打ち付ける雨をものともせず、あの繊細な羽根でぐんぐんと力強く飛んでゆく。

なんだかちょっと、感動した。

そして “ じぶん ” の小ささに、なんだかちょっと凹んだ・・・
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by cheshire335 | 2005-07-09 13:10 | 蟹の呟き

視線 4



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    雨 が く る よ
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by cheshire335 | 2005-07-09 13:06 |

休息



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いつか  どこか  とおく
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by cheshire335 | 2005-07-08 11:56 | 蟹のハサミ

紫陽花



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花、というものに、実のところあまり興味がない。
切り花はすぐにしおれてしまうからつまらないし、植木はすぐに “ 枯らして ” しまう・・・
花に関わることを 「 才能 」 とするならば、私にはそれが皆無であるらしい。

だけど、桜と紫陽花は別だ。
こんなに心惹かれるものはない。
どうしようもなく 花音痴 な私にさえも、季節を感じさせてくれる。

いつ咲くか、まだ咲かぬかと、散々ヤキモキさせられたかと思うと、
一気に咲いて一気に散る・・・それを 桜の醍醐味 とするならば、
紫陽花の醍醐味は “ 経過 ” を楽しめることだろう。

一雨ごとにうっすらと色づく様に、うっとりわくわくどきどきする。
そういえば紫陽花の花言葉は 「 移り気 」 だったか・・・
そしてまた、私の誕生花でもある。
皮肉にも (?)


季節を知らせる花でありながら、なぜか紫陽花は息が長い。
秋やら冬やらに咲いているのを見かけて ぎょっ!? とすることもしばしば。

実際、わたしの記憶の中にある 紫陽花の思い出 も時期はずれなものだ。
あれは、夏のおわり。


子どもの頃、友達の家で遊んだ帰り、彼女のお母さんが庭の紫陽花を一枝切ってくれた。
「 土に挿しておいたら根付くかも 」
そう言われて持ち帰ったものの、我が家はマンション住まい。
それでも一縷の望みを託し、いちばん大きな植木鉢に枝を挿した。

数日後、植木鉢の置いてあるベランダに、一匹の蝉が墜ちてきた。
夏のおわり、地上に墜ちた蝉の多くは二度と飛び立つことがない。
我が家のベランダに墜ちた蝉も例外ではなく、仰向けになったまま時折もがくばかり。
それを見て、子ども心に 「 ああ、これはもうダメだ・・・」 と感じた私は、
とにかく “ 木 ” に留まらせてやろう! と思ったのだ、なぜか。

そのとき “ 木 ” の役割をしてくれたのが、土に挿したばかりの紫陽花だったのだ。
ぐったりと横たわる(?)蝉を拾い上げ ( そういえばあの頃は虫に触れたのだなあ・・・ )
まあ、地面に転がってるよりはマシでしょうよ? などと語りかけながら、
紫陽花の枝に体を近付けると・・・しがみついたのだ、しっかりと。
そしてそのままじっとしていた、三日間くらい。

ある朝、蝉は紫陽花の根元に ぽとっ と落ちていた。
私はそのまま、紫陽花の根元に蝉を埋めた。


某小説では、桜の根元に死体が埋まっているらしいが、
私のイメージでは桜より紫陽花、そして死体は蝉の亡骸なのである。
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by cheshire335 | 2005-07-07 11:28 | 蟹の呟き



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どこへでも行ける

困惑するぐらい どこへでも
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by cheshire335 | 2005-07-07 11:19 | 蟹のハサミ